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jazz night

さんふらわあ JAZZ NIGHT 初代プロデューサー
大橋 郁がお届けする『KIND OF JAZZ』。
媚びないジャズにこだわる放浪派へ。
主流に背を向けたジャズセレクションをどうぞ。

第111回
Naruyoshi Kikuchi
Contribution: Ryota Kojima



テナーサックス奏者としての
菊地成孔への羨望
【寄稿】:小島良太



Playground
山下洋輔

【Amazon のCD情報】

この山下洋輔トリオのアルバムに菊地氏は2曲客演している。 そのうちの1曲、“My Grandfather's Clock おじいさんの古時計”は現在も菊地氏と山下氏が毎年行う新宿ピットインでのGIGでも定番曲として取り上げられている両者にとって記念碑的な題目。




LIVE
大友良英ニュー・ジャズ・クインテット

【Amazon のCD情報】

大友良英ニュー・ジャズ・クインテットのライブアルバムだが、菊地氏のテナーサックス奏者としての熱量には目を見張るものがある。2曲目、大友氏のペンによる“Flutter”を聴くと、脳内がこの演奏に侵食されるかのような錯覚にも似た体験をする。



さんふらわあ ジャズナイト
フェリーで揺れる、ジャズの夜。
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ジャズ カフェ&バー Volontaire
東京赤坂でジャズなら
カフェ&バー、ボロンテール

Jazz & Booze さりげなく
ジャズを呼吸する街で夜を堪能。
神戸を代表するジャズバー、さりげなく

ジャズ喫茶 jam jam
ゆったりした地下空間でジャズを満喫。
神戸元町のジャズ喫茶、jam jam

レコードバー ブラック
極上のサウンドをアナログレコードで。
神戸元町のレコードバー、BRAQUE。

ジャズバー Doodlin
ソウルでファンキーな夜を。
神戸元町のジャズバー、Doodlin'

バーインク
ALTECが生み出す極上のサウンド。
新神戸駅近くの隠れ家バー。


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兵庫県加古川市に拠点を置く東播ジャズ倶楽部が発行するジャズフリーペーパー『VOYAGE』の編集長、小島良太氏から原稿が寄せられました。
その疾走感ある語り口は、取り上げられているサックス奏者の投影かもしれません。
お楽しみください。

※※

【寄稿】
テナーサックス奏者としての菊地成孔への羨望
小島良太



ジャズ評論での卓抜した理論解析。軽妙な語り口から発せられる料理、ファッション、格闘技に関する豊富な見解。イベントオーガナイザーとしてのアイデアと実績。果てはラジオDJまで……
ジャズを軸足に置きながら……、という前口上を持ってジャンルレスに業界を闊歩する菊地成孔氏は、私の理想、羨望の的である。

菊地氏の“ジャズミュージシャン”としての活動も、私はある程度追いかけている。DCPRGの爆音ダンスフロア直撃サウンドは超刺激的だし、DUB SEXTET(現在はSPTETでも活動)の60年代アコースティックマイルスをモチーフにしたスタイリッシュなモードジャズ(スーツブランドCool Struttin'とのコラボレーションもひたすら男前だ)の静かに熱い感触も好きで好きで。UAとの「cure jazz」での自然な艶やかさも耳が求めるため、よく聴いている。

そういった氏のジャズミュージシャンとしての演奏スタイルにはプロジェクトごとに演奏の温度差がある。私は自分の体温に合わせて彼のジャズを日頃取捨選択しているのだろう。かなりキザな事を言ってしまったが、きっとそうだ。

また、文体の語り口と同じく氏のテナーサックスには『菊地印』とでも言うべき独特の個性が確立されている。それが4ビートジャズだろうがボッサだろうがフリージャズだろうが。
で、今回こちらの場で紹介したいのは上記の作品群では、ない。
ここでは氏のリーダー作ではなくサイドメンとして、一人のテナーサックス奏者としての作品を紹介しようと思う。



菊地氏がアンダーグラウンドからジャズの表舞台に躍り出たのは言うまでもなく山下組での仕事。そのボスである山下洋輔氏がオーディションで採用したベースとドラマーを率いて、80年代後半から活動した成果として『Playground』(1993)を発表しているが、このアルバムにも菊地氏は2曲客演している。
そのうちの1曲、“My Grandfather's Clock おじいさんの古時計”は現在も菊地氏と山下氏が毎年行う新宿ピットインでのGIGでも定番曲として取り上げられている。両者にとって記念碑的な題目で、その公への初演である。

おじいさんの古時計への寂寞の念はどこへ行ってしまったのか、なんならおじいさんの古時計は修理でもされて、最新機能も満載、24時間365日フル稼働してんのか、おい!と言いたくなるような山下&菊地ワールドに変貌している。
この両者の演奏をいつかピットインで聴く時、私のジャズの区切りがひとつ消化される事だろう。



もう1枚。大友良英ニュージャズクインテットの、またもや新宿ピットインでのライブを収めた、その名もまさに『LIVE』(2002)。
あぁ、ジャズを、その中でも飛びっきりのフリージャズに耳を全て預けたい!という欲求に駆られる時(が、私にはあまりないが)に、よく手が伸びる作品だ。
ここでの菊地氏のテナーサックス奏者としての熱量には目を見張るものがある。ここ数年の作品群における氏のサックス演奏に、ここまでの熱量を持った演奏があるのを、少なくとも私は知らない。単純にバンドの音楽の方向性の違い一言で片付けるわけにはいかないぐらいに。

ライナーで氏もこう語っている。「僕がこのバンドにテナーで参加してる事で、最もナイスなことは人がやってるバンドの中で僕を最もジャズメンにしてくれるバンドだってことなんだ。」と。
2曲目、大友氏のペンによる“Flutter”を聴くと、脳内がこの演奏に侵食されるかのような錯覚にも似た体験をする。この文章を書いている今も聴きながら、その錯覚に陥っている。菊地氏のテナーの尋常ではない叫び度合いに対峙しながら文章を考えるのはなかなかハードだ。



いざこうやって書いてみて、冒頭触れた通り、私はやはり菊地氏のやる事なす事に憧れているのがよーくわかった。文章も演奏も何もかもジャズで格好良いと思った事のその先に、この人がいる。自分がその模倣や真似だと言われても、この人の動向を食い入るように見つめ、聴いていくだろう。今宵も羨望の眼差しで。

だからといって、テナーサックスを練習する予定はないが。



※※

小島良太:1986年生まれ、神戸市在住。会社員の傍らジャズライターとして活動。
兵庫県加古川市に拠点を置く東播ジャズ倶楽部から、ジャズフリーペーパー『VOYAGE』を発行、編集長を務める。その他各種ジャズ媒体への寄稿、CDライナーの執筆も行っている。
なんやかんやで、やっぱり4ビートジャズが好き。
●東播ジャズ倶楽部【Web Site】
●ジャズフリーペーパー『VOYAGE』【Web Site】
●Freedom Jazz Dance【Web Site】


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